取引には契約書を(2)【2004年3月号】

 

弁護士 榎 本   修

 「契約書を作りましょう」と言われても、どうやって作ったら良いのでしょうか。その点について疑問に思われるかもしれません。

Q.契約書を作ろうとすると「契約書なんて水臭い」と言われてしまいます。どうしたら良いでしょうか?
 確かに、そのように言われると困ってしまうところです。相手との「良好な」関係を壊してしまうのは、どうかな、と思ってしまうかもしれません。しかし、先回もこのコーナーで書きましたように、契約書が威力を発揮するのは、そういう「良好な」関係が壊れた時です。
 例えば、簡単な内容のものでも構いません。また「契約書」というタイトルが難しければ「覚書」でも「合意書」でもOKです。タイトルではなく内容で法律的な性質は決まってきます。
 申込書の裏に約束事を記載しておき「裏面約款のとおり申込をします」と記載する方法もあります。ワープロなどを利用して作る方法もあるでしょう。

Q.わが社の取引の実情にあった契約書を作るにはどうしたら良いのでしょうか?
 契約書を作りたいので「ひな型」を下さい、という御依頼を受けることがあります。しかし、契約は似たようなものであっても一つ一つ必ず違った内容を持っています。また、何度も何度も取引をする場合、契約書は一回作ったら終わり、というのではなく、利用に応じて何度もバージョンアップすることが大切です。それでこそ本当に「強い」契約書を作ることができます。