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「社外取締役」とは?【2006年5月号】


                                      弁護士 榎 本   修
 
   村上ファンド×阪神電鉄のM&A合戦で、三井住友銀行出身の社外取締役である玉井英二氏の発言や去就が注目されています。今回は、このケースを素材に「社外取締役」とはどのようなものか、お話ししたいと思います。

   阪神と阪急ホールディングス(旧阪急電鉄)の経営統合について、玉井氏は5月4日、「反対ではないが、重大な決断なのに、情報がない。村上ファンドから逃げたい一心で、阪急陣営に逃げ込むような行動はやめてもらいたい」と話したと報じられました(2006年05月05日配信asahi.comより)。

   玉井氏のこの発言は、パッと聞くと「この人は村上ファンドを応援しているのか?」「会社の敵対的買収者に塩を送るのか?」と聞こえるかもしれません。しかし、少なくとも法律的には、「社外取締役としてあるべき態度を示した」ものだと評価できるものなのです(報じられている発言と別のところに真意があれば別ですが)。

   もともと「社外取締役」というのは、社内の生え抜きの取締役から一歩離れて、「会社はこうあるべきだ」という意見を述べることを期待されています。そのような意見を言うためにこそ、わざわざ社外から招かれているわけです。玉井氏が「その判断のためには情報が欲しい」というのは至極もっともなコメントだと思います。

   日本の会社の多くは、社内での派閥争いを経て生え抜きの者が役員になり、社長になってゆきます。そのような会社運営は、「気心知れた者同士」という点では大変良いのですが、「なれ合い」「隠蔽体質」というのを生む土壌となりやすい、とも言われています。

   とりわけ、今回のような敵対的M&Aの場合、現在の役員たちは、自分が今後も役員として残ることができるかどうかが最大の関心事です。口では「いつも会社のことを思っています」「村上ファンドなんかがやってきたら会社はメチャクチャになってしまうから反対しているのであって、自分の個人的な利益のことなんか『これっぽっちも』考えていません」と言うと思いますが、そういうキレイゴトで割り切れないのが人間の悲しいところです。

   本当は(第三者の目から、又は神様の目から見た場合)、現在の取締役(役員)がダメな人間である場合であっても、「我々はこんなに素晴らしい。だから、今の役員構成で会社運営をさせて欲しい」と言ってしまいがちなのです。ですから、「会社の利益」と「(生え抜き)取締役個人の利益」が最も対立する今回のような場面でこそ、一歩離れて厳しい意見を言うことが社外取締役の仕事です。こういう場面で厳しいことが言えなければ、違法行為があった場合でも厳しい意見を言えず、結局はコンプライアンス(法令遵守)など絵空事になってしまいます。

   会社法が求める「社外取締役」の要件は、「当該株式会社・子会社の業務執行取締役・執行役・支配人その他の使用人でなく、かつ、過去に当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人となったことがないもの」というものです(会社法2条15号)。つまり、一度でも会社の社員(使用人)であったことがある人は「内部の人間」ということで、社外取締役とは認めない、ということになっています(かなり厳しい要件です)。     

   会社法は、このような「社外取締役」を全ての会社に置けと言っているのではなく、基本的には大規模な会社に設置を要求しています。ですから、多くの大会社で「コンプライアンスのために『社外取締役』を置きましょう」という話になっているのですが、自分で社外取締役を招いておいて「自分に煙たい意見は御免です」という態度は、本来の社外取締役制度の趣旨に反すると思います。

   5月12日の報道によれば、玉井氏は、「6月29日の株主総会終了時に取締役を退任する。(村上世彰氏率いる『村上ファンド』の)株主提案で次期取締役に選任されても、就任を辞退する」と表明したとのことです(5月12日 YOMIURI ONLINE)。阪神電鉄側が玉井氏の就任辞退を迫ったわけではないとは思いますが、結局は「煙たいことを言った者が去る」という結論になりそうで、その意味で今回の阪神電鉄の生え抜き取締役たちの態度には、若干疑問が残ります。
 
 

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