法人制度が新しくなります

法人制度が新しくなります 【2007年9月号】

弁護士 榎 本   修

 
  皆さまのお取引先の中には、「社団法人」「財団法人」など様々な法人があると思います。最近では、「中間法人」や「特定非営利活動法人(NPO法人)」など、ますます色々な法人ができてきました。このような中で、来年12月1日から、法人制度全般について抜本的な見直しがなされて「一般社団・財団法人法」が施行され、民法の条文(38条~84条)は削除されることになりました。
  みなさまのお取引先の中にも、これから名称や仕組みが変わってくるところがあるかもしれません。そこで今回は、新しい法人制度はどのようなものか簡単にご説明したいと思います。

  (1)来年12月から新しくできるもの・なくなるもの
新しく「一般社団法人」「一般財団法人」というものができます。他方、これまでの「中間法人」制度は来年12月に廃止され、これまでの中間法人(「有限責任中間法人」と「無限責任中間法人」とがあります)は、原則として「一般社団法人」に統合されることになります。(ただし、特別の場合に「特例無限責任中間法人」として存続することもあります。)つまり、簡単に言えば、中間法人という制度はなくなることになります。

  (2)従来の「社団法人」「財団法人」はどうなるか?
  これまでの単なる「社団法人」とか「財団法人」というものがなくなり、基本的には全ての法人がこの「一般社団法人」「一般財団法人」として設立・運営されることになります。ただし、これまでの「社団法人」や「財団法人」は、①「交通知識の向上と交通安全の推進等」(社団法人日本自動車連盟〔=JAF〕の場合)や②「相撲道の維持発展と国民の心身の向上」(財団法人日本相撲協会の場合)といった「公益」を目的としています。 これらは「公益社団(財団)法人」として認定され、法人所得税・寄附金に関わる税金が優遇されることになっています。
  例えば、JAFは「公益社団法人日本自動車連盟」という名称に、相撲協会は「公益財団法人日本相撲協会」という名称になるでしょう。

  (3)変わらないもの
  株式会社も「法人」の一種ですが、個々の株主の利益(私益)を代表としていますし、会社法という特別な法律によって定まっていますので、今回の法改正の影響は受けません。また、「特定非営利活動法人(NPO法人)」や「医療法人」も今回の法改正の影響を直接に受けることはありません。

  (4)手続の簡素化
  これまで公益法人を設立するには、主務官庁(たとえば、JAFであれば国土交通省)の許認可を得る必要がありましたが、これからは、準則主義といって一定の準則(ルール)にさえ従っていれば、登記によって簡単に設立できることになりました。更に、財団法人では、基本財産が1億円以上はないと許認可が得られないと言われていましたが、今回の「一般社団・財団法人法」では、300万円以上の財産があれば(153条2項)、一般財団法人を設立できることになりました。

  その他にも色々変更がありますが、お取引の中で、法人のことで疑問な点がありましたらご遠慮なくご相談下さい。顧問先の皆さまには無料でご相談に応じさせていただきますので、宜しくお願い申し上げます。