民法改正~法定利率の変更について~(安田剛弁護士)

民法改正~法定利率の変更について~ 【2017年11月号】

弁護士  安  田      剛


1.民法(債権法)の改正

 民法(債権法)の改正法が国会で成立し、平成29年6月2日に公布されました。改正民法は、公布日から3年以内に施行されることとなっており、平成32年(2020年)の1月から3月頃に施行される見込みです。  
 民法の債権法分野は、契約や取引に適用される法律で、日常生活や企業間取引にも影響を与える可能性が大きいものです。

2.法定利率の改正点  
 
 今回は、民法改正が行われた分野のうちで、法定利率の変更について、ご紹介したいと思います。  
 例えば、次のような事例で考えてみます。

  Xは、旧来の友人Yから急に資金が必要になったと相談され、これまでの付き合いもあるため、Yに300万円を1年後に返済してもらう約束で貸し付けました。その際、利息もきちんと支払ってもらう約束でしたが、利率を特に定めませんでした。 Xは、そろそろ1年が経過するので、300万円に利息を付けて返済してもらいたいと考えています。 利息はいくらになるでしょうか。


  ①まず、Xは、300万円をYに貸し付ける際に、利息の利率を約束していませんでしたが、仮にXとYの間で利息の利率を年1%とか、年2%などと定めていたら、その約束した利率での利息をXは請求できることになります。当事者間の合意が優先することになります。
 
 ②しかし、上記の事例では、Xは300万円を貸し付ける際に、利息もきちんと支払ってもらう約束はしていますが、利率は特に定めていませんでした。  
 このように当事者間で利息の利率を特に定めていなかった場合(当事者間の合意がない場合)に、民法の規定が適用されることになります。
 民法の規定が問題になるのは、当事者間の合意がない場合に限られます。
 
 ③そこで、民法の規定が適用されることになった場合、Xの請求できる利息の利率がどうなるかですが、この点が今回の民法改正で変わりました。  
 具体的には、これまでは5%の固定制であったのが、今後は3%の変動制に変更されます。  
 ⅰ)5%から3%に利率が下げられた点は、現在の市中金利に鑑みると5%は高すぎるということで3%に引き下げられました。  
 ⅱ)また、当初3%の変動制に変更されることになりますが、改正民法の施行の平成32年からは、当初は3%ですが、その後は3年ごとに過去5年間の市中金利の利率の動向を基準として、その変動幅が1%以上ある場合には、1%単位で利率が変動することになります。  
 つまり、当初3%ですが、3年毎に利率が見直され、2%になったり、4%になったりするということです。  
 ただ、1%単位での変動制ですので、現在の金利情勢から考えると、それ程頻繁に利率が変わることはなさそうです。  
 このように民法改正により法定利率が変更されますので、事例では、Xは従来の民法であれば5%の利率による利息(単純計算で15万円)が請求できましたが、民法改正後ですと、3%の利率による利息(9万円)しか請求できないということになります。